ランゴバルト、レプトールを倒した後、シグルドはバーハラヘと歩みを進めた。

そして疑いは晴れたという使者が訪れ、アルヴィス卿の守護するバーハラ城へと向かった。

6.運命の扉(後編)■

全軍に告ぐ、反逆者シグルドとその一党を捕らえよ。生かしておく必要はない、その場で処刑するのだ!!

シグルド達を待っていたのは、皮肉な運命であった。汚名が晴れたと思っていたがそれは罠であり、王都を守っていたアルヴィス卿の策略により、敵軍に囲まれることとなってしまったのだ。



…そして、シグルドにはそれ以上に過酷な運命が待っていた。

ディアドラとの再会であった。



「この方が、シグルド様ですか?」


一目見て、最愛の妻だということがシグルドには解った。いなくなった時のままの姿であった。



「ディアドラ!!君なんだね、どれほど探したことか!!」

姿を見たとき、どれほど傍に駆け寄り抱きしめたかったか。ずっと探していた彼女を見つけて、安堵した。

しかし、姫と呼ばれる彼女の傍らにはアルヴィス卿が立っていた。

「姫を呼び捨てするなどするな。王女ディアドラはクルト王子の娘であり、私はその夫だ。」

アルヴィスが言った言葉が理解できなかった。

シグルドの中で彼女は王女などではなく、精霊の森から現れた不思議な少女であり、自分の愛すべき妻である。

「アルヴィス卿何をいっているのだ?その人は私の!!」

「シグルド様は私を、御存知なのですね。」

アルヴィスに肩を抱かれたディアドラは真っ直ぐにシグルドを見ていた。

シグルドも彼女をじっと見つめていたため、2人は見つめあう。周りの時間が止まっているかのように2人は不思議な空気に包まれる。

そんなディアドラの様子を見て気を悪くしたアルヴィスはディアドラとシグルドの間に入る。

「もういいだろう、誰か姫を安全な所へ。」

ディアドラはもう少しだけと言ったが、無理やりに連れていかれる。シグルドは兵に押さえつけられ、救出することができなかった。

「ディアドラ!!待ってくれ、その人は私の……。」

「もういい、何も言うな。卿には悪いが、反逆者としてここで死んでもらう」

ただ叫び続けるしか術のないシグルドに、アルヴィスは冷たく言い放つ。

「アルヴィス、きさま!!ディアドラのことを知っていたのだな!!」

「さあな、死ね、シグルド!!」

アルヴィスはシグルドに向けて、炎の超魔法ファラフレイムを唱える。かつての聖戦で聖戦士の一人、ファラが用いたといわれるその魔法の威力は強く、全てを焼き尽くす死の魔法と恐れられていた。その噂に違うことなく、シグルドを焼き尽くしたのあった。







シグルドは死んだ。彼を待つ人々を残して。

クロードの受けた神のお告げは変わらなかった。

ヴェルダンの進行からはじまったこの戦いは、人々に無念と絶望をのこして終った。


























「全ては終った。もう後戻りはできない」

バーハラ王宮の一室でアルヴィスは呟いた。

これまで彼が愛した者達は全て彼から離れて行ってしまった。

父の横暴に耐え切れず、父のもとを去った母。母が去ったことに絶望して命を絶った父。

父の側室で、自分を我が子と分け隔てなく可愛がってくれた義理の母。…そして、唯一の肉親で、誰よりも大切だった腹違いの弟・アゼル。

処刑計画が行われる前、弟だけは助けるつもりであった。しかし、どこか自分に怯えていた弟は、立派になっており、自分を拒んだ。

…おまけに愛した妻ディアドラまでシグルドの妻であったという。

アルヴィスは自嘲めいた笑みを零す。

「私が欲する者は全て手に入らないのか、ならば奪うまで。シグルドはもういない。ディアドラ私だけのものだ。もう、私の邪魔をする者はいないのだ。」



アルヴィスは心の平穏が欲しかったがために、今回のことを計画した。


アルヴィスが欲しても手に入れることのできないものを持っていたシグルドが妬ましかった。



自分が努力して、苦労して手に入れてきたものを彼は簡単に手に入れてしまう。弟のアゼルの信頼だってそうであった。自分には怯えたがシグルドには安心して心を開いた。それが悔しかった。






しかし、彼はもういない。



自分が葬り去ったのだから。




「安心してあの世に居るがいい、この国は私が…守る。」






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同時に、バーハラ城の地下にある別室で喜びを顕にするものがもう1人いた。

…ロプト教団の大司祭マンフロイであった。

「もうすぐ、もうすぐじゃ、我らの暗黒神ロプトウス様が復活なさる。」





















かくして、欲望の渦巻くバーハラでアルヴィスによりクランベル帝国が建国された。

再び暗黒神の支配する世界へと運命は開いていくのであった。




(運命の扉・終わり)





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後書き

5発目前編。

メインはシグルド・・・?というよりアルヴィス?


と、ここで、一応の所の本編・親代は終りです。
なんじゃらほい!見たいで、中途半端なままで、恋愛部分を放置しておりますので、そちらを先に片付けてしまおうと思います。

ので、順番は前後しますが、先に13以降の番外エピソードを。やはり子供の時代に移る前に親のいきさつをきちんとしとこうと思いますので。


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