■40.戦場の花■
「・・・・・・・・・・・・・・またアイツは!!」
舌打ちした後、レックスは走った。
目の前には、仲間になって間もない女剣士の姿が見える。
戦場において、勝手な行動は命取りになる。
―いくら腕が確かでも、だ。
しかし、彼女は振り返ることなく進む。
その姿は、まるで死に急いでいるように見えて仕方なかった。
―彼にとって、彼女は”得体の知れない奴”だった。
自分のことを話そうとしないアイラ。
そんなことは別に気にはしていなかった。
こんな時世である。言いたくない事の一つや二つ、誰にでもあるだろう。
が、レックスは目撃してしまったのだ。
先日彼女が泣きそうな顔で剣を見つめていたのを―
「アイラ!!一人で突っ走るな!」
向かってくる敵に斧を振り回して応戦しながら、前を走る女剣士・アイラに呼びかける。
が、彼女はちらりと一瞥しただけで、止まろうとはしなかった。
「おい!」
そんな彼女に向かって叫ぶ。
待てと。
後ろを振り返ると、すでに本陣から随分離れていた。
「ちっ、勝手に突っ走りやがって、アイツ死ぬつもりか!?」
普通の彼なら、一旦本陣へ援軍を求めてから突っ込むところだろう。
が、今日のレックスは引く事をせず、己もそのまま敵陣へ突っ込んで行った。
気がつくと、追いかけていたのだ。
「アイラ!待てって。一人で戦っているんじゃないんだそ!!」
追いついた…というか、アイラが予想以上の敵の数にてこずっている間に距離が縮まったのが真実であったが、この際そんなことはどうでもよかった。
とりあえず敵を片っ端からぶった切る。
そしてアイラに向かって言い放った。
今度は聞こえなかったではすまさない、という威圧を込めて。
「・・・・・・・・・・わかっている、そんなことぐらい。」
アイラはちらりとこちらを見て、そう返した。
が、すぐに視線を戻し、緑の閃光を放ちながら敵に向かって行く。
まさに、鬼神とでも言うべきか。
素早く、鮮やかな動きで敵を切ってゆく。
一種の舞踊のようである、と思った。
誰も寄せ付けないオーラを纏ったアイラ。
美しい花には棘があるとは良く言ったもんだな、とレックスは思う。
それほどに、アイラは容赦なく敵を切っていた。
戦場で間近に見るアイラの姿に、レックスは一瞬見とれてしまっていた。
「・・・・・・・・・オレも負けてらんね―な」
そう言って、ニヤリと口の端を上げると、レックスは斧を振り回した。
結果は、明らかに圧勝。
本陣が到着する前には粗方の敵は片付いていた。
戦いが終ると、オレは突っ走ったことをアゼルに叱られた。
アイツは心配性なんだよなー、と思う。
ついでにお節介。
…ま、オレも人のことは言えないけどな。
―そう呟いたレックスの手には、1振りの剣が握られていた。
(戦場の花・終わり)
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後書き
サイドストーリー。40番
戦場の花と言えば、彼女しかいませんよ!!ってことで。
レックス視点で書かせていただきました。
短い上に分けわかんない話しだなぁ…。
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