■31.発見■
「あっエーディンさん発見ー!!」
どうしてこんなところにいるんだろう?あの人は、後方に居るはずなのに。
そう思い、首をかしげながら彼は見つけた人物のもとへと走って行った。
遠目であったが、軽くウェーブのかかった金の長い髪をした人物は、エーディンであると思った。
オーガヒルには海賊の住処であり、女性は絶対に近寄らない。
それを討伐するために来た自分達の仲間に金髪の女性はエーディンしかいない。
それでなくても、彼は彼女を見間違うはずもなかった。
手を振って走り寄ると、花のような笑顔を向けて
『どうかしたのですか?デュー』
と問い掛けてくれる。
幼い頃から、盗賊として生きる事を余儀なくされた彼に、優しく語りかけてくれた人。
女神とはこんな人のことだろう、と彼は思っていた。
彼女の想い人は傍目に見ても明らかで、自分ではないけどデューは彼女が笑いかけてくれるだけで幸せだった。
が、彼女に近づくにつれて、様子がおかしいのが解った。
風になびく髪は、間違いなく彼女と同じ。
背丈も同じくらい。
でも、違う。
そこに立っていた女性は、弓を持っていた。
彼女は武器を取らない。
走っていたのが、次第に歩きに変わり、やがて止まる。
目がいいデューが見て、彼女はエーディンが武装しているように見えた。
「・・・・・・・・・エーディンさん・・・・・・・じゃない?」
そんなわけないと思いながらも、見れば見るほど彼女に見えた。
おかしいと思いながらも、彼女に近づこうとした。
!!!
ビュンと弓が飛んできた。
彼女が弓をこちらに向けてきたようだった。
「ま・・・まって!!オイラ何もしないから!!」
焦って、とりあえずそう言うと、
「・・・・・・・・・・子供か」
とポツリと呟く声がした。
「こんな処で何をしている」
エーディンとそっくりな顔で。敵意を表した表情で笑顔は向けてくれなかった。
・・・・・・・・・・・でも、声は綺麗だった。
「あ・・・・・・・・・あはは。オイラ、シグルド様の軍で・・・・・」
焦って、とりあえず敵意は無いと示す。
目の前の女性は子どもだと安心したのか、弓は下げられたけど、警戒心は解いていない。
「そうか、クランベル軍の・・・・・・・海賊を討伐に来たのだな」
「う、うん、まぁ。」
・・・・・・・・・・・・・・・じつはデューはなにか良い物ないかな〜と辺りを散策しながら歩いていただけなのだが、一応そいういうことにしておこう、と頷く。
「そうか。では、私を指揮官のところへ連れて行ってくれ」
ふと、彼女が笑った。
エーディンのように、女神の微笑みというものではなかったが、デューは綺麗だと思った。
同じ顔なのに、まったく違った笑顔をする彼女。
言葉づかいは偉そうでも、声は澄んでいて、耳に心地良かった。
・・・・・・・・・・・・見つけた。
デューはそう思った。
何故だか解らないけど、惹きつけられる人。
この後、参戦することとなる彼女の名はブリギッド。
彼女が行方不明であるエーディンの双子の姉だということを、デューはまだ知らない。
が、持ち前の人懐っこさで、ブリギッドにまとわりつく彼の姿は、軍内でよく見かけられたという。
(発見・終わり)
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後書き
サイドストーリー。番号としては31
でも書いた順番は、18発目
デューの発見したものは?
そりゃ、姉御でしょう。
ギャグでいこうかと思ったこのお題ですが、こういうデューもいいかな、と。
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