マーファ城陥落

ガンドルフはクランベル軍の攻撃にあっけなく倒れた。
彼は圧制を強いていたため、市民はクランベル軍による開放を喜んだ。
人望の差が勝敗を分けた、といってもよい戦いであった。










2.精霊の森の少女(後編)







「いや、話してください!!」

マーファ城に近い村で藤色の髪をした少女が絡まれていた。
そこを目撃したシグルドは、止めに入った。

クランベルの聖騎士という名称の効果は抜群で、彼の名が出ると、絡んでいた男達は慌てて去って言った。

「ありがとうございます、シグルド様」

・・・・・・・・不思議な女性だ・・・・・・
その吸い込まれそうな藤色の瞳に目を奪われシグルドは思った。

「どうして私の名を?」

何か言おうとしても、思い浮かばず、結局ありきたりなセリフとなってしまった。

「エーディンというひとに聞いたんです。
・・・・・・・・・・・・あ、私、もう行かなくては。」

儚げな印象の女性であった。
村の長老に聞いたところ、ディアドラというらしかった。

もう1度会いたい。あの時、ディアドラは何か言いたそうなようすだったな、などと考えながら、シグルドは城へ向かった。


―今はそんなことを考えている場合ではないな。残るはヴェルダン城のみだ、戦いが終ったら、探してみようか。

そう思い、彼女の去って行った方向を見つめていると、後ろから声がかけられた。

「ディアドラさんですね。」

「エーディン、無事だったのか?よかった!」

いつもと変わりない微笑を浮べている幼馴染の姿をみて、シグルドは安心した。
もともと、彼女を取り戻したならば、もうこの戦いの目的は果たしたことになる。
あとは市民を苦しめているというサンディマというダークマージを捕らえるだけだ。

「ええ、ご心配をおかけしました。・・・それに、ミデェールまで助けていただいて・・・」

エーディンはちらりとミデェールを見る。瞳には怪我など無かったかのように、元気な彼が映っていた。その姿がどれだけ見たかったことか。


「いや、それはエスリンが…」

「まぁ、エスリンが?」

「ああ、キュアンと供に駆けつけてくれたんだ。」

まったく、少しは大人しくなったのかと思っていたら、お転婆は治ってないみたいだな、と笑うシグルド。
エーディンは多くの人の協力に感謝した。

「シグルド様、私も供にお連れください。決して足手まといになるようなことはしませんから。どうか」

エーディンの眼差しにシグルドは頷く。回復魔法が使えるシスターはこの先重要な人員となるだろう。知識があり、有能なエーディンの協力は不可欠であった。













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ヴェルダン城へ向かうには、精霊の森、と呼ばれる森を通らなければならない。
かなり深い森で、案内無しではなかなか進むことができない難所である。

しかし、何とかヴェルダンの第3王子ジャムカの協力を得、シグルド達は先を急いだ。
精霊の森の一番深い所を通った時だった。

シグルドの前に誰かが飛び出してきた。

「待ってください!ここから先には行ってはダメです!!どうか、お止めください」

ディアドラだった。

・・・あの時の・・・
シグルドは一瞬目を奪われた。先ほど会ったときとは印象が印象が違って見えた。
村であったときは儚げな印象であったのに、この精霊の森という場所のためが、とても神秘的に見えた。

「ディアドラ・・・私は行かなければらならない。仲間は既にヴェルダンへ向かっている。私は隠れるわけにはいかないんだ。」

そう、はっきりとした意思を持って話すと、彼女は自分もついてくると言った。

「私なら、あの魔法を防ぐことができます。・・・このサイレスの杖で・・・」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい、おばあちゃん、でも私この方を放っておくことはできない。私で力になれるのなら、お助けしてしたいの。

ディアドラは必死に頼んだ。
どうしてだか、わからないが、この人について行きたい、助けたいと思う自分を抑えられなかった。
『村を出て、人と交わってはいけない』そう言われて、ずっと過ごしてきた。一度だけなら、今回だけならば、と思った。




ディアドラがあんまり一生懸命に頼むので、シグルドは断ることができなかった。
彼自身、彼女ともっと供にいたい、と思ったからかもしれない。
危険だと知りつも、彼女が同行することを許してしまった。

「しかし、危ないから、私の傍を離れないと約束するならば。」

ディアドラの答えは勿論是であった。










ディアドラを伴い、シグルドはヴェルダン城を目指す。
森が深いため、十分に身動きがとれず、戦いは困難な状況に思えた。



「待ってください、それ以上は進んではいけません。私がいいというまでは皆さんはここで待機してください。」

いきなりディアドラが前方に走り出た。
シグルドの静止を振りきり、彼女は杖を振りかざす。

神秘的な、何かの儀式の様であった。
皆は静まり返り、固唾を飲んでディアドラを見つめた。

「神よ、彼の者から悪しき魔術を取り去りください。」

ディアドラがそう祈ると、杖が輝きを増し、ヴェルダン城へと光が刺した。


ほんの数分の出来事であったが、シグルドには何時間も時が止まったかのような錯覚に囚われた。
・・・・・・・ディアドラ、君は何者なんだ?



「もう、だい・・じょ・・う・・・・」

振り返ってそういいながら、ディアドラは倒れた。一番に駆け寄り、抱き起こしたのはシグルドだった。

「エーディン、頼む、彼女を何処か安全な場所へ!!」

ディアドラの無事を確認して、シグルドはヴェルダンを目指す。彼女が作ってくれたきっかけを逃すことの無いよう、その足は急いだものとなっていた。







その後、ヴェルダン城に到着したシグルド一行は戦うことなく城を開放した。
サンディマという魔道士に操られていた兵士達は、彼の魔力を封印したことで正気を取り戻したので、あっけない幕切れとなったのだ。



しかし、既に時はおそく、バトゥ王は城を開放してまもなく息を引きとってしまった。
王が不在となったヴェルダンは、クランベルが直接統治することとなり、シグルドがその任にあたった。シグルドは仲間達をねぎらい、幼馴染のエーディンの無事を喜んだ。






・・・・・・・・・・・・・その傍らには、いつしか恋仲となったディアドラの姿があった。

寄り添う二人は本当に幸せそうに微笑んでいた。

















その間にも、運命の歯車は止まることなく回る。

そう、この出会いこそが、後にシグルドの運命に深く関わることとなる。











(精霊の森の少女・後編終わり)





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後書き

二発目後編です。なんか微妙な展開。

シグルドとディアドラの話。

しかし、あの即効でくっつくのはどうにかならないものでしょうか?
見るたびに、んなわけあるか!って突っ込みたい私。
一目ぼれというのでしょうか?

あ、でも1回だけ、恋人にならずに1章クリアしたことあります。
↑根性で(笑)

…でも2章では恋人でした。←あんまり意味ナシ。


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