ガンドルフにより、エーディン公女は、ヴェルダン王国の南に位置する、マーファ城に連れされれた。

その後、クランベル軍の侵攻とガンドルフの弟、ジャムカの助けによって城から逃れる事に成功した公女は、マーファの城下町にて、不思議な少女と出会った。










2.精霊の森の少女(前編)







「エーディンさん、こっちだよ!早く!!」

「待って、デュー。私、もう……」

マーファ城から抜け出すことに成功したエーディンは、同じく城にとらわれていた盗賊の少年、デューとともに逃げることとなった。

本来公女であり、おっとりした性格である彼女は、当然走ることに慣れてはおらず、なんとか城の近くにある村に紛れたものの、すぐに足を挫いてしまった。

エーディンはシスターであったので、傷はすぐに治せるが、体力だけはどうにもならない。

幸いなことに、クランベル軍の侵攻に対する備えに忙しいということで、まだ追っては来ていない。そう確認をして、2人は何処かで少し休もうと休憩のできるところを探した。


その途中、不思議な空気をまとった少女に声をかけられた。

「あ、あの、大丈夫ですか?具合が悪そうですが」

薄い藤色の髪と目が大層目を引く不思議な感じの少女だった。












「ここなら、少し休ませて頂けると思います。」

その少女はエーディンを村の長老の家に案内してくれた。
ここの長老は親切であるから、と言った少女は、ディアドラと名乗った。

「ありがとうございます。とても助かりました。」

「いえ、私も長老に届物がありましたから。」

ディアドラはそう言って長老に話を通してくれた。
それから届物を渡したディアドラはエーディン達のもとへと戻ってきた。


「クランベルの軍が攻めてきている、と聞きました。ここも戦いになるのでしょうね。長老がそう言っていました。なんでもシグルドという方が指揮官であるとか…」

「クランベルが、シグルド様が来られているのですか!?」

エーディンは顔色を変えた。彼女の幼馴染・シグルドが出てきた、ということは恐らく自分を助けるためであろうと思った。彼は理由もなく戦う人物ではない。そして、幼馴染の窮地を放っておくような人物でもなかった。

「はい、そう聞きました。クランベルの聖騎士様だとか。エーディンはご存知なの?」

「ええ、シグルド様は訳もなく他国を攻めるような人ではありません。聖騎士になられたのは存じませんでしたが、とてもお優しい方です。」

「聖騎士様…きっと素敵な方なんでしょうね。」

騎士、という者に憧れているのか、ディアドラはシグルドについてエーディンにいろいろと尋ねた。彼女が熱心に聞くので、エーディンはそんな様子が微笑ましく思えシグルドについて話した。

「青い髪に澄んだ目をした方です。…あの、その噂にユングヴィのことはありませんでした??ミデェールという騎士が…」

エーディンは、ふと彼女の心にある不安を口にした。ミデェールは、彼は無事なのだろうか。あの時かなりの傷を負ったように見えた。いつも隣にいて、微笑んでいた彼の安否はとても気にかかる。

そのエーディンの不安そうな言葉に、ディアドラは瞳を曇らせ、何も知らないと応えた。

と、そこでデューが口を挟んだ。

「エーディンさん!もうそろそろ行かないと。あんまり長話をしてると見つかっちゃうよ!!」

「ええ、行きましょう。ディアドラさんありがとうございました。長老様お世話になりました。またお礼に参ります。では、失礼します。」


十分にとは言えないが、体力を回復したエーディンはデューとともに出発した。

―ディアドラ…不思議な方でした。またお会いできれば…
そう思いつつ、クランベル軍へと急ぐエーディンであった。





















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そのころ、シグルド率いるクランベル軍はマーファの東、ジェノアにて第2王子キンボイスを討ち取ったところであった。

一行は思ったよりも善戦をしいていた。
というのも、自称旅の剣士・アイラが仲間に加わったためである。
自他ともに認める凄腕の剣士であり、彼女は戦場の女神と言わんばかりの活躍をみせた。
自ら切り込み、素早く身構えて剣を扱う彼女は何か思いつめたような様子であった。
数々の噂があったが、もともと無口なアイラは何も語らなかった。

彼女の協力もあり、次はマーファを目指すという時に海岸線を山賊のような者達に襲われている者がいるという知らせが入った。


「シスターと盗賊のようです。」
「仲間割れでしょうか?」
「シグルド様のことです、助けに行くんでしょう?」

上から順番にノイッシュ・アーダン・アレクのセリフである。
それに答えるシグルドの答えは勿論是。
仲間達もまた、待ってましたとばかりに賛成をした。













「シグルド様!!あれは、あの方はエーディン様です!!間違いありません」
海岸に駆けつけるやいなや、ミデェールが叫んだ。


追われているシスターはエーディンであった。
夢で何度うなされたことか。馬を走らせてエーディンのもとに急ぐ彼はいつもよりもきつく手綱を握り締めていた。













「エーディンさん、もう少しだよ!ほら、あそこに…」

「きゃぁ!!」

そういって振り返ったデューの目に入ったのは、エーディンの捕らえられた姿であった。


「「エーディンさん(様)!!!!」」


----------------グサッ


デューが叫んだのと同時に、もう一つの誰かの声がして、エーディンの捕らえていた男に弓が刺さっていた。

「きゃぁ!!」

エーディンは倒れこむ寸前で誰かに腕を引かれ、馬に騎乗していた。
突然の恐怖に震えるエーディンは暖かいマントで包まれた。

「エーディン様、よくぞご無事で…」

エーディンのそばで聞きなれた声がした。
恐る恐る顔をあげると、あの日深手を負って倒れたハズのミデェールがいた。


「ミデェール!!」

涙が止まらなかった。いつもと同じミデェールの笑顔があることがとても嬉しかった。

















(精霊の森の少女・前編終わり)





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後書き

二発目。話がながーくなって行く…。

ので前後編にします。

エデxミデっぽいです…。
あっはっはっは???

予定ではシグルドとディアドラの話だったのに。
一発目でミデェール書いたんで、その結果を付けたいな〜なんて…(苦笑)
あはは…エーディンxミデェールのエピソードはこれにはもう入れないつもりです。
後のは、気が向けば、単独で書くかもですが。

では、後編をお楽しみに(



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