気持ちの行方






1 .期待と現実と



夕暮時、静かなレンスター城の一室で、リーフは窓から外を眺めていた。
かつては美しかったレンスターの面影は今はない。
最近までフリージに支配されていたこと、奪還のための戦争によるり、レンスターは荒廃し、今は復旧の真っ最中である。
トラキア暦776年…リーフ王子が15歳のときにレンスターの復興に向けて義勇軍が立ち上がり、開放戦争が起こった。そしてそれは解放軍の援助もあって成し遂げられた。
レンスターの民はリーフ王子の生還を心から喜んでいた。だからこそ、生活が豊かであるとはお世辞にも言えない状態にも関わらず、人々の表情は明るい。長年の悲願であったレンスターの復興それは人々の心に光をもたらしたのである。


そんな人々に対して、リーフはやるせない気持ちでいっぱいだった。
幼かったとはいえ自分は国を捨てて逃げたのに、人々は自分を歓迎してくれた。それなのに自分はまだ人々に対して何もできていない。そんな思いがあり、リーフは自分に憤りを感じていた。
「僕…いや、私にできることは…」
激戦を生き抜き、レンスターに戻った後、リーフは以前にまして一生懸命になった。
そして、いつからだか「僕」といっていた一人称を「私」と言ようになった。
王子として、人の上に立つ者として、皆に弱いところを見せまいと一生懸命であった。




…コンコン…
ドアをノックする音が響いて、リーフが「どうぞ」と言うとフィンが入ってきた。
生まれたときからずっとリーフに付き添う、守り役だったフィンは、今リーフの片腕となり、国の復興に努めていた。生まれてすぐに両親を失ったリーフにとっては親代わりとなる存在でもあり、リーフは絶対的な信頼を寄せていた。
「フィン、また何かあったのか?」
リーフは振り返ってため息混じりに答えた。復興は容易ではなく、問題が山のようにあった。最近のフィンとの会話はそれらの問題についてばかりと言っても過言ではなかった。だからリーフはまたそのことだろうと思っていた。
しかし、フィンが言ったことはリーフの予想とは違っていた。
「いえ、そうではありません。アルスターに駐留されている解放軍から使者がきまして、セリス様がお会いになりたいそうなので、リーフ様に来て欲しいとのことです。」
「セリス様が私に用がある?」
解放軍とは特に何も問題がなかった気がするのだけど…などとリーフが考えていると、フィンは続けた。
「使者の方は何の用かは聞いていないそうですが、まさか解放軍で何かあったのでしょうか?でもそれなら急ぐでしょうし、2,3日内にアルスターに来て欲しいそうです。」
主人の返事を待っているフィンの顔色はやはり悪い。毎日働き詰で、ろくに休みを取っていないからだ。国の重要な位地にいる以上、それは仕方ないことであった。


「そうか」というリーフはどこか考え事をしているようだった。フィンと同様、リーフも働き詰であり疲労を隠せない様子であった。
「リーフ様、ここのところお疲れでしょうから、気晴らしを兼ねて行ってきてはどうですか?」



…コンコン…


リーフのこのところの様子を考えてフィンがそう促すと同時に部屋にノックの音がした。
「どうぞ」
「失礼します。リーフ様お茶をお持ちしました…あら、フィン様もいらっしゃったんですね。また何か問題でも?」
リーフの返事を待つか待たないかといったタイミングで入ってきたナンナのセリフを聞いてリーフは笑ってしまった。
ナンナはリーフにとって妹のような存在であった。王子の部屋で、ノックをした後に返事を待たないでドアを開けて入ってくるのはそれだけ仲が良い、ということである。
「まあ、どうしたんですかリーフ様?
苦笑いを浮べるリーフを見てナンナは自分が何かしたのかしら?と怪訝そうな顔をした。
「ごめん、違うんだ。だたナンナが私と同じ反応をフィンに返したのが可笑しくてね」
フィンは自分は問題しか持ってこないように思われているのに眉をひそめた。しかしこのところのリーフと顔を会わせる時には必ず問題が発生した時であったため苦笑を隠せないでいた。
「アルスターに行く話をしていたんですよ。そういえばナンナの兄も解放軍でアルスターにいるとか。ナンナもこのところ大変だったから行きますか?」
「アルスターに?いいのですか??」
「ええ、私も行ければ良いのですが、都合がつきそうにないので、代わりに。」
フィンの提案にナンナが目を輝かせて喜んでいるのを見て、リーフはその提案を良しとした。

ナンナもリーフと同様、両親がいない。いや、どこかで生きているかもしれなかったが、その消息は不明であった。唯一の肉親である兄が解放軍にいると最近になってわかったのだが、あまり会う機会がないままレンスターへと戻ってきた。


こうして、急遽2日後リーフはにナンナを同行しアルスターに向かうことになったのである。

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懺悔

以前に書いたもののリメイク版。「偶然の奇跡」の再会話です。

書いていると長くなったので続きます。

今のところ前・中・後の3部構成の予定です。てか、リーティになハズのにティニーちゃん出てきてないし…。
次はティニーちゃん出ます♪