■恋のはじまり(3)■
「やぁ、ティニー。おはよう。アーサーも、調子はどうだい?」
二つ並んだ席に、アーサーとともに着いたティニー。
その向かいの席に座っていたのはリーフだった。
彼は、さわやかな朝にふさわしい笑顔で挨拶してくる。
それは、仲の良い仲間としては当然のことであった。
が、この場合は少し異なる。
「おはようございます、リーフ様」
「・・・・・まぁまぁ、かな」
アーサーの態度がリーフに対して素っ気無いのは常のこと。
それは、周知の事実でもある。
アーサー自身も自覚してやっていることだし、リーフもそれに慣れてしまっているので気に留めていない。
しかし、ティニーはちがう。
どちらかといえば、好意的に接していて、兄とは正反対の態度をとっていた。
・・・のだが、何故だか今日はリーフを目に留めたときに瞳が曇った。
リーフの隣に目をやると、当たり前のように金髪の女の子が座っている。
『・・・・・・・・・・・ナンナさん・・・・・・』
ティニーは溜息を心の中でつく。
また胸がチクリと痛んだ。
そして、それを回りに悟られないように顔では笑って挨拶をした。
「おはようございます、ナンナさん」
「・・・・・・・おはよう、ティニー。朝からお兄さんと仲がいいのね」
ナンナはしばしの空白の後、挨拶を返す。
笑顔を浮かべてはいるが、どこか、ぎこちない挨拶だ。
アーサーにも素っ気無い態度で挨拶をしたナンナは、リーフと談笑を再開する。
まるで、『これ以上話すことなんてないわ』といった態度だった。
やはり、嫌われているのか、とティニーは思う。
ナンナは厳密に言えば、レンスターの者ではない。
しかし、ナンナのこれまでの人生の経緯からして、彼女がフリージに敵対する思想を持っていてもおかしくない。
ティニーは、何とか話をしたい、と思っていた。
できるならわだかまりのを除いて、解放軍の仲間として付き合いたかったが、彼女と話す機会は極端に少なかった。
ただでさえ重かった気分が、尚更沈みこんだ状態で、ティニーは朝食を取り終えた。
頭の中を、様々なことがぐるぐる廻っていたため、味は覚えていない。
気がつくと、前の席に居たリーフ達はすでに食べ終えており、席を立つところだった。
「じゃあね、ティニー。アーサー、今日もよろしく頼むよ」
今日も、例の特訓をするのだろう。リーフは2人にそう挨拶すると、立ち上がる。
「リーフ様、フィンが待っています。早く行きましょう」
ナンナにそう促されて、リーフは食堂を出て行った。
レンスターの復興に命を懸けて直向に努力するリーフと、その隣にいつもいるナンナ。
生真面目な王子と、それを補佐する姫、と表現するのが妥当だろうという2人の姿だった。
周りからそんな2人の噂をする声が聞こえてきた。
「やっぱり仲いいよね〜」
「ああ、あの2人はレンスターの重心公認の仲だからな。」
何気ない会話である。
そう、客観的に見ると誰もが思う一言。
彼らが一緒に居るのは、自然で、むしろ一緒にいない方が珍しい。
二人の仲は”公認”
それは周知の事実であった。
もちろん、ティニーもそれは理解している。
なのに・・・・・・・・・・・・・
なのに、この胸の痛みはどうしてだろうか。
怪我をしたら心配だし、会えないと寂しい。
真っ直ぐな眼差しで見られると、ドキッとする。
体温が上がるような気がする。
―それに
リーフが笑っているのを見ると、自分も嬉しい。
たとえ、それがナンナのそばであっても。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・私、リーフ様をお慕いしているんだ・・・・・・・・・』
ふと、思い浮かんだ言葉。
心の痛みが和らいでいく。
と同時に、ティニーは悟ってしまう。
―この恋は実らない、と。
食事を終えた後、隣に座っていた兄がいつものようにたくさん話しかけてきたが、返事は適当に頷いただけだ。
もちろん、内容なんて覚えていない。
が、このときあーサーの話をきちんと聞いていなかったことを、後に彼女は後悔することになるのであった。
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あとがき
リーフの出番が…。
ティニーちゃんはやっと恋に気づきました。
さて、これから一波乱起こす予定です。
…てか、ナンナのイメージ変わってきてるよ!?
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2005.0411